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12月の音
北国で雪が積もり、道路がアイスバーンになる頃、一般の車はタイヤをスタッドレスに履き替える。トラックはチェーンを巻く。走るとチェーンの端はシャラシャラと鳴り、さながらサンタクロースのそりの鈴の音のようだといわれていた。サンタクロースの存在に夢を持たせることのなかった実家に於いて、私はそんなロマンチックな妄想をすることはなかったけれど。
でも、きらきらと心躍る季節の夜更け、朝を目指して走り抜けるトラックの降らせる鈴の音。いま考えると、あのトラックが載せていたものは、やっぱりプレゼントだったのかもしれない。
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